2017年5月22日(月)、楽天株式会社主催の「IDで生き抜くマルチデバイス時代のデジタルマーケティング」セミナーが宣伝会議セミナールームにて開催されました。
セミナーでは、データを取り扱う企業のマーケター向けに、膨大な会員データのビジネス活用において業界をリードして取り組んでいる楽天株式会社と、そのソリューションパートナーとなっている弊社Supership株式会社による最新のデジタルマーケティングの取り組みについての講演が行われました。
本記事では、講演の様子をレポートいたします。
講演は、デジタル広告のデータ分析において知見の深い以下2名の対談形式となりました。
まずは両名のご紹介です。
| Supership株式会社 広告事業本部 デマンド事業部 ビジネス開発部部長 小林賢太朗 |
数年前から「ビッグデータ」というキーワードが流行りだしたことで、データの収集・蓄積をしている企業は多いものの、集めたデータを分析してマネタイズや出稿のフェーズに進めている企業はまだ多くないと感じています。
| 楽天株式会社 アドソリューションズ事業 広告事業部 商品開発課 渡邉桂子氏 |
楽天は国内で約9000万の楽天会員数を誇り、70以上のサービスを提供しています。多岐にわたる様々なサービスを、楽天会員を中心としたメンバーシップを軸に結びつけた「楽天エコシステム(経済圏)」を形成しており、そこには膨大なデータが蓄積されています。
以降は、両名の対談のなかで語られたいくつかのテーマから、ポイントを抜粋してレポートしていきます。
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「スマホシフト」は急速に進んでいます。スマホの利用者数が急激に伸びたことにより、ユーザーの可処分時間はPCからスマホへどんどん移行が進んでいる状況です。それとともに、出稿する広告主側のデジタル広告予算もPCからスマホへと寄せられてきています。スマホの可処分時間の中でも、特にアプリでの時間消費が増えているので、広告主によるスマホアプリへの出稿ニーズは非常に高まってきてはいますが、スマホアプリへの出稿は、PCウェブやスマホウェブに比べて広告の投資効果がわかりにくいという大きな課題があります。これまでウェブでのトラッキングやターゲティングに使ってきたCookieがアプリでは使えないためです。また、(ブランディング目的の広告の場合は特に)出稿後のブランドリフト調査がかけられないということもあり、なかなかアプリでの出稿に踏み出せないという広告主は多いと思います。
しかし、企業のマーケティング施策においてアプリとブラウザ、両方へのアプローチは必須となってきています。調査会社のニールセンのデータによると、ユーザーがアプリとブラウザを使い分けている様子は非常に顕著で、コンテンツカテゴリによってはアプリの利用者のほうが多い場合もあります。例えば、SNSやオークションなどはアプリの利用者が多く、逆に、ニュースや価格比較などはブラウザでの利用が多くなっています。
このように、デバイスごとに利用者の目的に合わせた広告を見せることは重要ではありますが、PCとスマホでとにかく出稿してみて、効果がいい方に出稿をすればいい、ということではないので注意が必要です。
例えば、よく代理店のレポートでこのようにPCとスマホでCPAを比較するケースがあると思いますが、結局のところ、このようなデータだけではどちらのデバイスが効果があるのかを判断することはできません。なぜなら、こうしたレポートで表示される「CPA」は単純にコンバージョンに至ったユーザーが最後に行動を取った「ラストクリック」によって算出されたもので、ユーザーがコンバージョンに至るまでにどんな動きをしていたかが全く加味されていない数値だからです。
ECに限らず、例えば申し込みフォームが複雑な金融の広告の場合などは特に、コンバージョンはPCの方が多くても、申し込みに至るまでにスマホで何度もサイトを訪問しているという可能性があります。このように、正しく広告の効果測定を行うには、PC、スマホウェブ、スマホアプリなど、全てのデバイス・チャネルを横断した広告評価を行う必要があるのです。
いままでの広告ソリューションの多くはユーザーの分析にCookieが使われていますが、これにはデバイスやチャネルをまたぐとデータが分断されてしまうという欠点がありました。
まず、スマホアプリではそもそもCookieが使えないため、Cookieを使ったアプリ間でのユーザーの追跡は不可能です。スマホウェブの場合は、Android端末ならCookieを使ったユーザーの追跡が可能ですが、iPhone端末ではできなくなっています。PCの場合も、自宅と職場でそれぞれにPCを使い分けている場合など、PCが変わるとCookieでの追跡はできないのが現状です。
▲Cookieベースのユーザー分析
ただ、Cookieでなく、IDをキーにすることで、どのデバイスからの利用であってもひとつのデータとして分析が可能になります。
▲IDベースのユーザー分析
IDベースならクロスデバイスでの分析が可能とは言え、ユーザーは常にログインしているわけではないので、これだけでは限られた範囲でしか分析できず、現実的ではありません。そこで、楽天ではSupershipとパートナーを組み、Supershipと楽天がそれぞれ持っている別々のユーザー属性データを、Supershipのソリューションによって「類推」してユーザーの紐づけを補完する取り組みを行っています。「類推」というと、本当に正しいのか懸念する人も多いですが、「類推」の元となるデータが、Supershipでは非常に精度が高く、確度の高い「類推」が実現できます。それは他社にはないSupershipのソリューションの強みだと思います。
スマホシフトが急速に進む「今」の時代に求められるのは、デバイス・チャネルを横断したマーケティングです。共通の「ID」とそれを補完するソリューションを活用することで、ユーザーのライフスタイルにあわせた最適な広告コミュニケーションが実現可能となります。